SPECIAL 2003
2003年11月 第48号 掲載
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重量挙げ世界選手権
日本代表女子、アテネ五輪の切符を獲得
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| 女子75キロ超級日本新記録を出した今鉾一恵選手、スナッチ105キロ決め思わずC JONATHAN CRUS 2003wwc |
バンクーバー・コンベンション・アンド・エキシビジョンセンターで11月14日から開催されていた重量挙げ世界選手権"2003 World Weightlifting Championships"が22日開催、9日間の幕を閉じた。来年8月13日から29日まで17日間開催される第28回アテネオリンピックの出場権がかかった今大会は、87の国・地域から636選手が参加、五輪への切符を手に入れるべく、連日熱い戦いが繰り広げられた。日本からは女子8選手、男子9選手、コーチ、トレーナー7人がバンクーバー入りした。
日本選手勢の戦い
軽量級選手が多い日本選手団は初日から試合が続いた。女子トップバッターは48キロ級Cグループの大城みさき。スナッチ2回目の試技で70キロ、クリーン&ジャークも2回目で82.5キロをマーク、計152.5キロとまずまずにまとめた。
大会3日目53キロ級Bグループに出場した松宮紅美恵は、スナッチ3回を成功させ82.5キロをマーク、ジャークも3回目を見事成功、105キロを上げた瞬間満面の笑顔を見せ会場を魅了した。トータル187.5キロは自己新。試合後、「自己の記録を大きく更新できてよかったです」24歳とは思えない童顔をほころばせた。松宮は今大会日本選手最高の10位につけた。同グループに出場した三宅宏美もスナッチは80キロに終わったもののジャークで105キロを上げ、トータル185キロの自己新をマーク。今回コーチとしてマンツーマンで指導していたメキシコ五輪フェザー級銅メダリストの父三宅義行コーチと、応援に来ていた伯父で東京、メキシコ五輪金メダリストの三宅義信氏が見守る中、注目の試技となったが、緊張したかという問いには「特に気にはしなかった」と17歳の若々しい笑顔を見せた。三宅コーチは「自己新を出して2人ともよくがんばった。これで少し安心した」と娘の活躍を喜んだ。
女子はこのほか20日に行われた75キロ超級Cグループに出場した今鉾一恵が、6回すべてをクリア、スナッチ105キロ、ジャーク122.5キロ、トータル227.5キロで自分の持つ日本新記録を更新。観客に手を振って喜びを表した。
男子は14日56キロ級Bグループで菊妻康司と山田政晴が先陣を切り、菊妻がトータル247キロで16位に食い込んだ。
男子は15日62キロBグループに齋藤和己と富永憲二が出場。齋藤はスナッチでは117キロで20位だったもののジャーク1回目で155キロを上げ10位に食い込み、トータルで272キロと15位に上がった。富永は270キロの16位。同日69キロCグループにはジャークで学生記録を持つ新谷義人が出場。トータル305キロの自己新で20位と健闘した。
唯一の重量級105キロ超級Cグループに出場した岩崎宇信は、ジャーク222.5キロの日本記録保持者。スナッチは165キロを挙げたが、ジャークでひじを痛め3回とも失敗、記録なしに終わった。
中国勢が圧倒
今大会男女とも全般的に中国勢が圧倒、メダル数は男女合わせて金21銀7銅4計32を獲得。2位には最終種目105キロ超級Aグループで2つの金を獲得したイランがつけた。3位はトルコで金3銀4銅9計16。アジアではタイが金2銀4銅2計6で6位につけた。
女子のメダルは中国勢が7階級中5階級を金と圧倒。特に65キロ級ではチャンホン・リーがスナッチ120キロ、ジャーク150キロ、トータル270キロで、75キロ級はミーチャン・シャンがスナッチ120キロ、ジャーク150キロ、トータル272.5キロで2選手とも全てで世界新記録を樹立した。
日本代表アテネ五輪出場枠を獲得
今大会で、男子170女子90計260のうち男子126女子61が決定される五輪出場枠は、各階級の順位を得点化し、その合計によって国・地域をランキング、男子は27位まで、女子は17位までが順位に応じて選手数を決定される。
日本は国別順位で女子が17位と2選手の枠を獲得した。しかし、男子は最終試合でアメリカに逆転され、チェコと37ポイントの同点で27位となったものの上位入賞者の多いチェコが27位、日本は28位となりアテネ五輪の切符を手にすることができなかった。
試合後、女子チーム長谷場久美コーチは、「厳しい大会になることは予想していました」と少し眉をひそめたものの各選手については、「自己新など結果を出した選手もいたのでその点はよかったと思います」と振り返り、今後アテネに向けてさらに強化していきたいと語った。男子チーム菊田三代治コーチは、1ポイントでも多く取るつもりで各試合を組み立てたのでトータルなポイントが獲得できなかったのはコーチ陣の責任と反省の言葉の後、最終戦での逆転に「残念です」と言い残した。
日本重量挙げ界では男女ともこの3年間選手交代の波が押し寄せ、新しい若手選手を育てていくという厳しい期間が続いていたという。男子は来年4月に行われるアジア選手権で最後の1枠獲得にかける。
重量挙げ競技
重量挙げとは、単純にどれだけ重いおもりを頭の上に持ち上げることができるかを競う競技である。とはいえ自分の体重の3倍近い重さを頭上高々と持ち上げるには高い技術が伴う。
三宅コーチに聞いたところそのトレーニング方法は、膝から下、膝、太もも、腕、肩といったぐあいに、全身の筋肉を部分ごとに鍛え、強化して力が出るように仕上げるということである。
オリンピック競技となっている公式重量挙げの競技方法は、スナッチとクリーン&ジャークという2種類のリフティング技術で持ち上げられた重さの合計で順位が決まる。
試技はスナッチとクリーン&ジャーク各3回ずつ、それぞれの最高記録の合計が記録となる。記録が同じ場合は体重が軽いほうが順位が上となる。
北米では知名度が低いが、ヨーロッパなどでは最も人気のある競技種目のひとつで階級によっては1万人もの観客を集めることもある。日本は今大会に同行した三宅義行コーチが現役時代の1960年代が黄金時代で、60年ローマ大会では銀1、64年東京大会では金1銅2、68年メキシコ大会では金1銀2銅1を獲得している。 (取材 三島直美)