SPECIAL 2003
2003年11月 第46号 掲載
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氷の上の選手たち カーリング女子日本代表カナダ合宿
レベルアップを求めてカナダへ
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| スィ−ピングは体力を要する |
日本代表女子カーリングチームのメンバー、青田しのぶ選手、岡崎ゆかり選手、湊谷絵梨子選手、石崎琴美選手、本橋麻里選手の5名とミキ・フジ監督が、9月中旬から約2ヵ月間、BC州に滞在し、トレーニング合宿を行なった。
日本からカナダへ
トレーニング合宿では、カーリングのレベルが高いカナダの選手たちと共に練習し、合宿期間中にBC州各地域で行われているカーリング大会(ボンスピルと呼ばれる)に出場し、海外での試合経験を積むことを目的としている。バンクーバーでの練習は主に、リッチモンドやニューウエストミンスター市にあるカーリング場で行われ、合宿期間中は5つの大会に出場した。合宿最終週は11月5日から9日まで、リッチモンドで開催されたBC州のローカルトーナメント大会、グレイカップに出場し、60数チームが参加した中で4勝1敗の成績を残した。
毎年2月に行われる日本カーリング選手権で優勝すると、翌年の日本代表チームとして4月に開催されるパシフィック大会に参加することができる。今回の日本代表チームは昨年行われた日本選手権で優勝した河西建設女子チームの4名の選手と北海道常呂高校2年生の本橋麻里選手である。今年9月からBC州で行われた2ヵ月間の合宿を終えると、11月末から始まるパシフィックカーリング選手権大会に参加、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、台湾、中国の5ヵ国の代表チームと対戦する。同大会で優勝すると、来年4月にスェーデンで行われる世界大会出場権が得られる。
今年の日本代表女子カーリングチーム
日本代表コーチ役を務めているのはバーナビー在住、日系3世カナダ人のミキ・フジ監督。1999年にBC州チャンピオン経験をもつミキさんが、河西建設女子カーリングチームをトレーニングする目的で北海道に招待されたのがきっかけ。当時13名のメンバーから5人を選抜し、トレーニングを開始した。ミキさんは、チームが世界レベルでプレイすることについて夢にも思っていなかったと話す。河西建設女子カーリングチームは、翌年の日本選手権大会ならびにパシフィック選手権大会でそれぞれ優勝し、現在では日本を代表するトップカーリングチームとしてその名を馳せている。
北海道常呂高校2年生の本橋麻里選手以外のチーム中4名の選手は1999年以来、日本で河西建設女子チームでプレイしている。日本で河西建設女子という名称で各大会に出場している。もともとメンバーが所属する河西建設株式会社と姉妹会社の東光舗道株式会社は会社をあげてカーリングを推奨している。会社側では新入社員の募集時からカーリング選手として育つことを期待しているので、スポーツ経験を持つ女子社員を採用することが多く、4人は入社時からカーリングを始めた。北海道常呂高校2年生の本橋麻里選手はリザーブ選手としてチームに参加しており、メンバーの中で唯一、中学時代からカーリングを始めた。2002年世界カーリングジュニア大会に出場経験もあり、将来が期待されている。
2006年冬季オリンピックに向けて
2002年ソルトレーク冬季オリンピック出場権は惜しくも国内大会で他チームに奪われてしまう形となり、同チームの出場の実現ならなかった。メンバーの中で唯一、リザーブ選手としてオリンピックに参加した石崎琴美選手は「試合に出場する機会はなかったが、(オリンピックの)雰囲気やマスコミに対する接し方などを経験できたことは次回のオリンピックで必ずプラスになると思う」とオリンピック参加を振り返る。2006年イタリア、トリノで行われる冬季オリンピックにはなんとしてもこのチームで出場したい。それは5人の選手すべてが固めている決意である、と話す。
そのためにもカナダでの合宿、また各地域の大会出場などにより経験を増やすことに大きな意義がある。「カナダのカーリングのチーム数、また各地で行われる大会の数は日本と比べてけた違いです」とコーチのミキさんは話す。「カナダでは子供たちが早ければ7、8歳の頃からカーリングを始める。クラブチームでは冬場は毎週リーグ戦が行われている。カナダのホッケー、アメリカのバスケ、日本の柔道と同じく、長い間カーリングに親しんでいるため、自然とゲームが身についているのです」
海外合宿中に学ぶ異文化経験
合宿期間中はほとんど5人一緒の行動。練習中も練習後も5人はとても仲良しで、互いに全く疲れた様子を見せない。メンバー同士でのライバル意識などは生まれないのか尋ねたところ、「そもそもカーリングは紳士淑女が始めたゲームであるため、対戦相手に対してさえも丁寧に接し合います。私たちの場合はメンバーのほとんどがほぼ同じ歳で同時期入社していることもあり、みんな友達同士なんです」と、キャプテンである青田しのぶ選手が答えた。
5人の選手はそろって「カナダ好き」。バンクーバーの印象について、カナダの人はとても親切であると述べた。湊谷選手は「(多種多様な人種が混ざっているので)人種差別を感じることがない」と述べ、青田選手は「こちらが英語をそこまで話さないと分かっていても、ゆっくりと丁寧に話してくれる」とつけ加えた。一方でカナダでは20代半ばの日本人女性は見た目が若く見え、試合中によく年齢を聞かれることがあるそうだ。パブのような場所でも身分証明書を見せるよう求められて、初めは戸惑ったよう。将来はカナダでカーリングを続ける気持ちがあるかという質問に対し、「お金さえあればすぐにでもプランを立てますね」と答えた選手もいた。
カーリングを通して、世界中のさまざまな場所でプレイするようになり、ますます英語の大切さがわかったと話す選手たち。海外で練習することで、精神的な部分でも影響を受ける。湊谷絵梨子選手は「(人生を)無駄なく生きたいと思うようになった」と述べ、青田選手が「こちらの人は楽しみ方を知っている。ゲームや人生に対するポジティブな生き方を持つようになった」と話す。高校生の本橋選手は、「たとえこれ(今日のゲーム)がだめでも次があるんだ、という考え方を学んだ」と話し、各選手とも異文化に触れることで楽しみながら成長している様子がうかがえた。
(取材 亀谷長政)
カーリング
アイス上で1チーム4人(リード・セカンド・サード・スキップの順)が1人2投ずつ、各チーム交互にストーンを投げあい、ストーンの距離を伸ばしたり、方向を微調整するためにブラシで掃く。相手チームのストーンよりもハウス(円)の中心の近くに入ったストーンの数でチームの得点を決める。
ルールは至って簡単だが、ゲーム中に交わされる駆け引きの奥の深さから、「氷上のチェス」と呼ばれている。子供からお年寄りまでが楽しめるスポーツで、主に11月頃から4月にかけてシーズン戦が行われる。毎年2月には日本選手権、4月には世界選手権が開催される。
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| 日本代表チーム |
日本代表チーム選手紹介
リード 石崎琴美選手
出身地:北海道
所属:東光舗道株式会社
年齢:25歳 カーリング歴:7年
カーリング前にしていたスポーツ:
バレーボール
セカンド 湊谷絵梨子選手
出身地:北海道
所属:河西建設株式会社
年齢:26歳 カーリング歴:8年
カーリング前にしていたスポーツ:
陸上競技(槍、円盤投げ)
サード 岡崎ゆかり選手
出身地:北海道
所属:東光舗道株式会社
年齢:26歳 カーリング歴:8年
カーリング前にしていたスポーツ:
バトミントン
スキップ 青田しのぶ選手
出身地:北海道
所属:東光舗道株式会社
年齢:26歳 カーリング歴:8年
カーリング前にしていたスポーツ:柔道(2段)
フィフス 本橋麻里選手
出身地:北海道
所属:常呂高等学校
年齢:17歳 カーリング歴:5年