SPECIAL 2003
2003年10月 第41号 掲載
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健康食品オーガニックフードを探る


Caper’sに並ぶフレッシュなオーガニックベジタブル

カナダにおけるオーガニック農法
 消費者の健康への関心の高まりを背景に、オーガニック・フードを食する人がますます広がる昨今。カナダはその比較的涼しい気候や、広大な土地からオーガニック農産物に適している国土でもある。現在約3100の認証されたオーガニック生産者/業が約34万ヘクタールの農場を管理しており、その農産物の多くはアメリカ、ヨーロッパ、日本などへ輸出されている。さらに、カナダはオーガニックの穀物、油種子の生産に関しては世界のトップ5に入るだけでなく、その売り上げは加工、非加工合わせて7億から10億ドルともみられている。
 そもそもオーガニック・フードとは、欧米で1940年代前半から自然回帰運動で有機栽培による農法(農薬、化学肥料、ホルモン類、抗生物質などを使わずに農産物や畜産物を育てる方法)で作られた食品、およびこの農産物などを原料とした食品のことである。
 オーガニックと認定される基準は国によって違うのだが、カナダではオーガニックとして認められるには最低でも3年間を要する。専門機関の厳しい指導のもと、土壌サンプルの摂取と分析を何度も繰り返し、基準にあった土壌に改良して行かなければならない。また、通常の農家と隣接する場合には、バッファーゾーン、緩衡地帯を25フィート以上設けなければならないなど数々のハードルをクリアして、初めて「オーガニック」として市場に出す事ができる。
なぜオーガニック食品を買うのか?
 オーガニック野菜はまず味が違う、と消費者は口をそろえて言う。野菜が本来持っている甘味があり、生のまま食べてもドレッシングやマヨネーズが必要ない程旨味がある。初めてオーガニックのブロッコリーを手にした消費者の1人は、「鍋で茹でていると、青虫が数匹浮かびあがってきてびっくりしたと同時に、今まで虫も食べないような野菜を食べていたのか」と愕然としたという。
 味もさることながら、最近の研究ではオーガニック農法で作られた野菜は、従来の農法で作られた野菜よりビタミンや微量元素が多く、また有害化学合成農薬、化学肥料、化学合成土壌改良材は使用されていないうえ、栄養価も高く安心して食卓にのせることができる。
さらに、オーガニック・トレード・アソシエーションのウェブサイトによると、平均的な子供が食べ物に含まれる発癌作用のある農薬にさらされる確率は、頻繁に使われる少なくとも8種類の農薬だけでも大人の約4倍と発表されている。
 有機野菜の宅配を通して知り合った主婦6人が発起人となり、1997年に発足した有機農業支援会 オーガニック・ライフ・サークル広報担当の石川まりこさんは、なぜ多くの人々が現代病の1つ、アレルギー疾患に悩まされているのかについて、「アレルギーは、汚れた土、水、空気、毎日食べる食品に含まれる残留農薬や添加物、身の回りにあふれる化学物質などが複合的に引き起こした大規模環境汚染症候群といえます。しかも慢性的なので、親から子へ、その子孫へと遺伝子の中で受け継がれていきます。この連鎖を止めるためには、『安いだけの』食べ物を求めることを、どこかでやめなければなりません」と語る。
 さらに石川さんは、「近年、食品栄養分析表を改訂するたびに、野菜の栄養価が減っています。化学肥料で野菜がいくら大きくなっても細胞の数は変わらないので、水ぶくれした状態のものを食べることになります。風味がなく栄養も少ないので満足度も低く、必要な栄養素が補えないので体がもっと食べるように要求し、肥満を引き起こします。また、野菜を見栄えよく大きく育てるために窒素肥料を多用すると、野菜の中に亜硝酸が発生します。それが胃の中で発ガン性物質であるニトロソアミンを作り出し、血液中の赤血球ヘモグロビンと結合して、酸欠・チアノーゼをまねきます。また、玄米などの穀物も、最も栄養のある胚芽に農薬が残留します。農薬のほとんどは油に溶け込む性質があるので、脂肪分の多いゴマやピーナツのような種実には残留農薬が多くなります。健康を考えて玄米菜食にしても、オーガニックでなければかえって健康が脅かされることになるのです」と非オーガニック食品の 健康への影響を懸念する。
消費者の声
 最近オーガニック野菜を試してみようと宅配サービスを利用したキャンポス家。親戚が購入したのがきっかけになったという。「味がフレッシュで、以前より野菜をよく食べるようになりました」とエルスベスさんは話す。さらに、「自分や家族の体にはいるものですから、なるべく質がよくておいしいものをと思ってるので、これからも買い続けます」と続けた。ただ経済的にも全てのものをオーガニックにすることができないのが残念だそうだ。
 また、オーガニックの卵を買いはじめたモリネロ家。近所の農場で直接手に入れる卵を、「焼いてるそばから強い卵の匂いがします。味付けをまったくしなくても、少し甘いおいしい卵そのままの味がします」と語ってくれた。
 オーガニック・フードのみの食生活にしたいが、現実は非オーガニックよりやや高いため(1〜3割程度)、数品のオーガニック・フードを購入している家庭が多いようだ。しかし、オーガニック・ライフィ・サークルの石川さんは「近年は、一般農業も農薬・化学肥料・石油燃料・遺伝子組み換え種子などに大幅な経費がかかり、有機農業との値幅は小さくなりつつあります。また、有機野菜の需要も年ごとに増えているため、一般農法から有機農法に転換する農家も目立つようになり、競争力がついたため全体的に値段が下がってきています」と、耳寄りの情報を教えてくれた。
オーガニック食品の市場
 1987年にベジタリアン・ナチュラル・フードを専売していたクリスタル・マーケットを買収したワイルド・オーツは、Capers(ケーパーズ)の名でも知られるナチュラル・オーガニック食品を扱うスーパーマーケットで、現在北米で99店鋪を持つまでに広がっている。ワイルド・オーツの広報を担当するソニヤ・トゥ一テレさんは、「北米におけるオーガニックマーケットは二桁の割合で非オーガニックからオーガニック食品へと消費者が移りつつあります。ワイルド・オーツだけでも過去2年で5%の売り上げの延びがあり、2005年までには店鋪を5割り増しする予定です」と消費者の延びを語ってくれた。
 オーガニックダイエットを始めるきっかけとして、客層は赤ちゃんが生まれた家庭や、フード・アレルギーがある人、スペシャルダイエットが必要な人(糖尿病等)が多いそうだ。さらに、年々高齢化社会になるなかで、健康で長生きをしたいとオーガニック食品を始めるひとも多い。ソニヤさんはさらに、「一般的に、オーガニックダイエットを始める人はきちんと教育を受けてる人が多いです。教育を受けている人は、よく食品にはってあるラベルを読みます。そしてそういう人は自分が食べるものがどのように製造されたか関心をもっているんです」と語った。またそういうことを踏まえ、きちんと教育を受けてる人はそれなりの収入を得ている人が多いので、ワイルド・オーツの客層は一般消費者より『やや経済的に余裕がある』人が多いそうだ。
 オーガニック食品で一番売れ行きがいいのは、やはり野菜と果物だ。なかでもレタス、バナナ、ジュースがよく売れていると、ソニヤさんは教えてくれた。しかし、食品以外のオーガニックとなると売れ行きはなかなか延びないのが現状らしい。「食品以外で、一番売れ行きが延びているのがオーガニック繊維インダストリーで、特にコットンは近年急上昇しています。しかし、現実としてこれはオーガニック市場のほんの一部を占める程度でしかありません。やはりお客さんはオーガニック、イコール、自分達の健康、となっているので、オーガニックの生産過程がどれだけ環境にフレンドリーであるかを知ってもらう事から始めなくてはいけないです」とソニヤさんは消費者の教育が大切であることを説明してくれた。
 また、オーガニック・ライフ・サークルの石川さんは、一般の食品よりやや高めのオーガニック・フードを食べるメリットについて、「まず、農業に携わる人々が農薬被害から解放されます。農薬や化学肥料で地球の環境や生態系を汚染することがなくなります。おいしく安全な食べ物で、自分だけでなく地域の人々や地球人の子孫が健康に暮らせます。できるだけ地元産品を買うようにすれば、地域社会の活性化に繋がり、貴重な石油の消費や公害も減らせます」と、ソニヤさんと同じくオーガニック農法がもたらす地球の環境改善とその効果を語ってくれた。
 一般食品より値段はやや高めだが、その味と地球に優しい生産過程に加え、健康にもいいオーガニック食品。一般食品と同じ天秤にのせるにはあまりにも差がありすぎるのではないだろうか。
(取材サンプター尊子/取材協力オーガニック・ライフ・サークル、ワイルド・オーツ(敬称略))

オーガニック食品店一覧
有機食品宅配サービス 
Tama Organic Life
集配所:734 Marine Dr., North Vancouver
(604)987-8198(集配所)
www.tama-organic-life.com
自然食料品店 Capers
 2285 W.4th Ave., Vancouver
 1675 Robson St., Vancouver
 2496 Marine Dr., West Vancouver
 3995 Quadra St., Victoria
自然食料品店 Choices Market
 2627 W.16th Ave., Vancouver
 1202 Richard St., Vancouver
 3493 Cambie St., Vancouver
 1888 W.57th Ave., Vancouver
 6855 Station Hill Dr., Burnaby
自然食料品店 Drive Organics
 1045 Commercial Dr., Vancouver
自然食料品店 Root's Natural
 22254 Dewdney Trunk Rd., Maple Ridge
ふじ屋
 912 Clark Dr., Vancouver
パン屋 The Artisan Bake Shoppe
 127 Lonsdale Ave., North Vancouver
パン屋 Terra Bread
 2380 W.4th Ave., Vancouver
 Granville Island Public Market
パン屋 Uprising Breads
 1697 Venables St., Vancouver
パン屋 Straight from the Hearth
 102-2381 King George Hwy., Surrey
卸売り Pro Organics
 4555 Still Creek Ave., Burnaby
*毎週土曜日午前8時〜午後1時 
 一般客対象のサタデーマーケット開催
卸売り Wild West Organic Harvest Co-op
 2120 Van Dyke Place, Richmond
*毎週土曜日午前9時〜午後3時 一般客対象のサタデーマーケット開催
有機食品宅配 Organics at Home
 1479 Hunter St., North Vancouver
*毎週土曜日午前9時〜午後4時 
 一般客対象のサタデーマーケット開催
有機農場 Olera Organic Farm
 372 Defehr St., Langley
有機農場 Haselmere Organic Farm
 1859-184th St., Surrey
ファーマーズマーケット East Vancouver Farmer's Market
 E.15th Ave. & Victoria Dr., Vancouver
*この他にもグレーターバンクーバーの各地で、毎年5〜10月に開催されている。