SPECIAL 2003
2003年9月 第35号 掲載
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オープンまであと約3ヵ月!
1億3000万ドルの大プロジェクト
「新アバディーンセンター」を率いるフェアチャイルドグループCEO兼会長 トーマス・ファング氏にきく

リッチモンド市のCambie RoadとHazelbridge Wayの角に現在着々と建設されているのが、1億3000万ドルをかけた大プロジェクト「新アバディーンセンター」だ。全面 特別素材のガラス張り、それでいて流れるような美しい曲線の斬新な建物


「新アバディーンセンター」の大プロジェクトを率いるフェアチャイルドグループCEO兼会長トーマス・ファング氏

には思わず目を奪われる。ガラスと光の作用で、昼と夜ではまったく違っ た表情を見せるのだという。完成が待ち遠しい。
 「生まれ変わるアバディーンセンターは単なるショッピングモールではない。ライフスタイルを提供する場」と語るのは、このプロジェクトを率いるフェアチャイルドグループCEO兼会長のトーマス・ファング氏。TVやラジオ、雑誌等のメディア、不動産開発管理など幅広い事業展開で、あのTime誌に「カナダで最も影響力を持つ1人」と評された人物だ。
 3階建て、総面積38万スクエアフィートの壮大な規模に生まれ変わるアバディーンセンターは、いったいどんなものなのだろうか?バンクーバー市内の同センターのリースオフィスで、ファング氏にきいた。
―オープンまであと3ヵ月に迫りましたが

 「工事は順調です。外装は出来上がり、内装工事が進められています。予定通りクリスマス前にはオープンできると思います。グランドオープニングは来年7月1日を予定しています」
―1990年に自らの手で建てたアバディーンセンターを、今回のプロジェクトのためにすべて壊して一から建て直ししていらっしゃいますよね。この思い切った決断をさせたものは何だったのでしょうか?
私は常に先導者でありたい

 ファング氏「アバディーンセンターは、初めてアジア、特に中国系の魅力を強くアピールしたモールで、最初の5年間は大変な成功を収めました。

ところが、周りにだんだんと似たようなモールが増え、地元のショッピングモールもアジアンテイストの店が並ぶなど、アバディーンセンターの個性が薄れてしまったのです。そこで大胆な方向転換を決心しました。私は常に先導者でありたい。列の後ろに甘んじているのはいやなんです(笑)。まったく新しいコンセプトを持ったこのアバディーンセンターは、再び

業界をリードする存在になると確信しました」
 「周りの土地の買収や土地のリゾーンなどで、売り場面積を以前の3倍にまで広げることに成功。市もこのプロジェクト


新アバディーンセンターのテーマは「イースト(東)とウェスト(西)の出会い」

に大変協力的で、センターの周辺は“Aberdeen District(アバディーン地区)”と名づけられました」
―「イースト(東)とウェスト(西)の出会い」をテーマに、単なるショッピングモールではなく、斬新な内容を持つモールになるということですが?
約240のテナント、市場、噴水ショー、サイエンスワールドとの提携、ワイアレスインターネットの魅力は数えきれない  
「アバディーンセンターには、世界中から約240のテナントが入り、また1階の屋外スペースを利用してとびきり新鮮な野菜や魚などが手に入るアジアの市場も設定します。国際色豊かなお店が一同に会すわけです」
 「話題を呼んでいるのが400万ドルをかけてつくる長さ14mの室内噴水です。ラスベガス風の光と音楽の噴水ショーを展開します。室内に設けられた噴水としては北米最大でしょう。それからサイエンスワールドとの提携で、モールの各所にエキジビションを設置し、人々にサイエンスとテクノロジーへの関心を高めてもらおうと試みます。観光客にも十分アピールできると思います」
 「3階のフードコートはこの辺りでは最大の規模を誇ります。メディアがここから情報を発信したり、また様々なイベントを行うスペースも設け、食事やお茶とともに、エンターテイメントも楽しんでいただけます。ドーム型天井のスカイライトから差し込む自然光やそこから眺める壮大な景色も自慢です。またこのフードコートを始め、モールの数箇所にワイヤレス・インターネットを設けます。世界各地のリアルタイムの表情を伝えるスクリーンも設置したいと考えています。世界の街のあちこちにカメラを設定しておき、その映像を流すのです。日本国内でのカメラの設置に協力できる方、企業の方、ぜひご連絡ください!」
―なんだかわくわくしますね。センターにどんなお店が入るのかも気になります。
「ええ。この新アバディーンセンターにふさわしいテナントに入っていただきたいと、今私は世界を飛び回っています。ここ数ヶ月はアジアを中心に出張してきました。つい2週間前に帰ってきたばかりです。そうですね、ひと月おきに、3週間ほど出張します。1回の出張で7、8都市を訪れ50のミーティングをこなします。 12月にオープンしてもテナントの25%のスペースはこれからのユニークなお客様のために空けておきます。来年は欧州にも足を伸ばしテナント開拓を行います。」
―ものすごくハードな生活ですね!
「いやあそれが、自分でとても楽しんでいるんです。私はほかに趣味がありませんから(笑)。でもおかげで、魅力的なお店がたくさん入ってくれることになりました。初めて北米に進出するお店も少なくありません。例えば、有名なタイの家具ショップもオープンします。そして話題はもちろん“ダイソー!”」
 ダイソーは、日本国内、海外に2400店舗を持つ人気ショップ。
取り扱い商品のうち80%が自社開発商品で、在庫整理等で仕入れた商品を売る他の100円ショップとは一線を画している。その新しい業態は、コンビニとデパートとの中間に位 置するといわれる。 ダイソーの社長も「最高のお店を作りましょう」と
 「このアバディーンセンターには、高品質の商品を持った魅力的なテナントに入って欲しいと、日本のお店もいろいろ調べました。そこで知ったのが“ダイソー”だったのです。ダイソーという会社を調べれば調べるほど惹かれました。ところが、ダイソーは海外進出に大変慎重な会社でした。そこで私の会社の概要や、会社や私個人について書かれた記事全部の日本語訳を作成し、まずは私達を知って頂きたいとお渡ししたんです。その熱意が認められて、第1回目のミーティングを持ったのは6ヵ月ほど前のことです。驚くことにそこに矢野博丈社長も出席して下さった! それは本当にまれなことであると、後に聞きました。そのミーティングで、私自ら矢野社長に、北米市場における広告やプロモーションについてのアイデアや、提携した場合の今後の事業計画や財務プロジェクトについて説明しました。その私の熱意とプレゼンテーション内容を矢野社長がとても気に入って下さり、それから1ヶ月後の2回目の会議でパートナーシップに話が及ぶなど、話はとんとんと進みました」
 「矢野社長とは何かお互いピンと感じるところがあったと思っています。アバディーンセンターにオープンするダイソーは最高のものにしましょうと、社長も約束して下さいました。12月12日にオープン予定で、その時は矢野社長も来加して下さる予定です。オープニングには、“先着12名に12分間無料でショッピング”といったあっと驚くイベントも行いますので、楽しみにしていて下さい」
―ダイソーでは日本人の求人も行われるようですが?
 「ダイソーでは、多くの日英バイリンガルの方に働いて頂きたいと考えています。職種もキャッシャー、スーパーバイザー、マーケティングなど広い範囲に及びます。ぜひ応募下さい」
ダイソーへの応募先: 応募希望者は、英文履歴書をEメールで下記に送付して欲しいとのこと。
担当のBetty Leeさんが9月いっぱい日本で研修中なので、
*9月中に応募する場合はMs. Anita Chiu,Financial Controller(ANITA@FAIRCHILDGROUP.COMへ。
*10月以降の応募は、Ms. Betty Lee, Administrative Manager BLEE@THOMSONANDFENN.COMへ
 「この他フードコートには、日本の本格的なヌードルショップ“味自慢”がオープンします。その美味しいたこ焼きも有名です。シェフがこれがなかなか男前でして、現在東京の“Noodle University”で修行中です。どうぞご期待下さい」  ぜひともこの新アバディーンセンターを成功させ、トロントやエドモントン、ロサンゼルスなどにも同様のモールを建設したいと計画するファング氏。香港の大企業家の家庭に生まれ、15歳の時にカナダに移民。アート・芸術に興味を持つファング氏は、NY大学でグラフィックデザインや映画製作などを学ぶ。その後はNYウォールストリートのメリリン・リンチなどで株取引や銀行業、貿易の経験を積み、1984年に、フェアチャイルドグループを設立。その後の活躍は、バンクーバーやカナダにとどまらず、世界規模で知られるところである。
 今回のインタビューの中で、それ程の成功者なのに、こんな言葉を口にできるなんて何て素敵なのだろう、と感じた言葉がある。それはアバディーンセンターが著名な風水マスターの承認(Endorsement)を得たという話に及んだ時に、ファング氏が語ったことである。
 「風水マスターの承認はあくまでもテナントに安心していただくためで、私自身が信じているわけではありません。私は夢を持ってがんばっている人にこそ、成功が訪れると信じているんです」        (取材 下坂陽子)