SPECIAL 2003
2003年6月 第26号 掲載
「もう年だからねえ。これが最後のチャンスだと思って応募しました!」
竪山ユキエさん(90歳) エントリー曲・美空ひばり「龍馬残影」
ナショナル日系ヘリテージセンター(NNHC)シニアカラオケクラブのユキエさんは、18番の美空ひばり「龍馬残影」で予選出場。「おばあちゃんの年なら絶対受かる」と周りから推されて「年を考えると最後のチャンスかも」と思い応募
したという。ユキエさんは鹿児島県出身。
バンクーバーの製材所で働いていたご主人とは、日本で行なわれたお見合いで知り合った。「16歳も年が離れていたのでイヤだったのだ
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けど、カナダに行ってみたかったし、年上のダンナさんは奥さんをとてもかわいがってくれるというから」結婚。「でもあまりかわいがってもらえなかったねえ(笑)」。第2次世界大戦が始まると夫は強制労働に送られ、幼い4人の子供を抱えての強制収容所生活。「体も弱かったし、あの時は本当に辛かった」とユキエさん。激動の時代を生きたユキエさんも、現在は新さくら荘で穏やかな日々を送る。近所に住む子供達とも頻繁に行き来し、体操にカラオケにと忙しい毎日。綺麗に髪を染め、オシャレ心をいつまでも忘れない若々しい素敵なおばあちゃんだ。
「無理をしないでありのままの姿で歌ってきます」 バンクーバー仏教会開教使の不二川往来さん。
エントリー曲・クールファイブ「長崎は今日も雨だった」
「いやあー大変なことになった」バンクーバー仏教会開教使の不二川往来さんは、軽い気持ちで応募しただけに、実際に予選の通
知を受
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け取った時にはさすがに少し不安になったという。しかし今は「無理をしないでありのまま」という親鸞上人の教えの通
り「せっかく選んで頂いたのですから、トレードマークの帽子をかぶって、無理せず普段のままの姿で歌おうと思っています。まあ恥でもかきにいこうかなという感じです(笑)」。歌うのはクールファイブの「長崎は今日も雨だった」。仏教会のシニアデーのカラオケなどで一曲頼まれるとよく歌う曲だ。恋の歌だけれども、どんな内容にも通
じる志の歌であるところが気に入っている。
9月からはプロを目指して日本へ デニス・ノゾミ・松田さん(19) エントリー曲・河島英五の「酒と泪と男と女」
スポーツドリンクのマーケティングの仕事を辞めて、9月に歌手を目指して日本に発つデニス松田さん。14歳の時にジャニーズJR入りを目
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指したが年齢制限のために断念。その後仲間と組んだバンド活動ではもちろんボーカルを担当していた。プロを目指すため、2ヵ月前からボイストレーニングも受けている。「ケミストリーのようなシンガーになりたい」というデニスさんがのど自慢の予選で歌うのは、河島英五の「酒と泪と男と女」。「父親が好きな曲でいつも歌っていましたから、この曲を聴いて育ちました。3歳頃から僕も一緒に口ずさんでいたようです」とデニスさん。歌はもっぱら祖母の家のカラオケで練習。甘いルックスとは裏腹にその声は「低くてシブい」と評判だ。
振り付けだってバッチリ!30代〜40代のパパ友が集まってグループ結成 トッド・レベルさん、ジョン・チャウさん、マシュー吉武さん、スティーブ・ホートンさん、ジェイミー・モントゴメリーさん
エントリー曲・ウルフルズ「明日があるさ」
五人は30〜40代のパパ友達。皆日本人の妻を持ち、リッチモンドやデルタに住んでいることから、日頃から頻繁に行き来する仲良しグ
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ループ。「妻に勧められたこともありますが、仕事と家を往復する生活にちょっと楽しい変化が欲しくて」とスティーブさんの呼びかけで「面
白いんじゃない?やろう!」とノリのいい5人が集まった。歌はウルフルズの「明日があるさ」。「皆でカラオケに行き、いろいろな曲を聴いてこの曲に決めました(ジョンさん)」「この曲はすごく元気があるしアップテンポで僕達にピッタリ(トッドさん)」。日本語の歌詞もすでにバッチリ暗記。練習も近くのコミュニティーセンターのスタジオを借り、鏡を見ながらの大特訓。「最初は大丈夫なの?などと言っていた妻達も、僕達の歌を聞いて“けっこういけるじゃない!”とびっくり。応援も盛りあがりそうです」とジェイミーさん。パパ達のノリノリの歌とダンスに乞う御期待!
4年半の文通を経てゴールイン。最愛の夫に見守られながらの出場 陽子・チャンスさん(ギブソン在住60歳)
エントリー曲・田端義男「島育ち」
NNHCシニアカラオケクラブの練習のために、毎週火曜日にギブソンからバーナビーの日系文化センターに通
う陽子・チャンスさん。そ
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の陽子さんに毎週、付きそっているのが夫のデービッドさん。2人の出会いは劇的だ。約35年前、陽子さんはサスカチュワンで暮していた兄を頼って英語の勉強のためにカナダに約3年滞在。日本の帰りの船で出会ったのが、デービッドさんだった。恋に落ちた二人はその後も文通
で愛を育み結婚を決意。ただしそこに陽子さんの父親の猛反対という壁が待ちうけていた。「何?ガイジンと結婚する?何を言っているんだ!」それでもデービッドさんはあきらめず、4年間半毎日、陽子さんに手紙を送った。そしてついには両親も根負けし結婚を許してくれたという。後年になって父親は陽子さんに言った。「幸せになったようだな…」。
陽子さんが予選で歌う曲は田端義男の「島育ち」。若い頃に耳にし覚えていた曲で、今回の予選のために選んだ。練習する陽子さんをやさしく見守るデービッドさんがいる。2人は今もアツアツの御夫婦である。
隣組うずしおカラオケクラブの仲間の応援に支えられて 山本多恵子さん(81) エントリー曲・都はるみ「大阪しぐれ」
「お母さんの長生きの秘訣は、大好きなお酒と歌ね!」とお嫁さんに言われたという山本多恵子さん(81)。10年前にバンクーバーに
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住んでいた息子さんの勧めで、夫とカナダに退職移住した。夫は9年前に他界したが、今は息子さん夫婦と同居し、孫2人、ひ孫4人に恵まれにぎやかな日々を送っている。多恵子さんが毎週楽しみにしているのが、隣組のうずしおカラオケクラブの練習。「上手でも下手でも関係ない。みんな和気あいあいとやっているのがいいんです。気心しれた仲間です」と多恵子さん。のど自慢で歌うのは、都はるみの「大阪しぐれ」。初めてカラオケで覚えた曲だ。夫が「これはお前にぴったりの曲だと思う」と選んでくれたという。ちょっとした振り付けも板につき、実に楽しそうに歌う多恵子さん。予選には大勢のカラオケ仲間が応援にかけつける。 (取材 下坂陽子)