2003年3月 第15号 掲載
前回は、失業保険には、一般的な失業保険(Regular Benefits) 、妊娠・育児・病気による失業保険(Maternity・Parental and/or Sickness Benefits)、漁師のための失業保険(Fishing Benefits)の3種類あると紹介した。中でも最も利用される一般的な失業保険についての情報提供に紙面 を割いた。今回は、妊娠・育児・病気による失業保険について少し詳しく紹介する。これはあくまでも概要であり、個人の状況によって細かなことには違いが生じてくるので、その際は直接HRDCオフィスに問い合わせてほしい。これは一般 的な情報として参考にしてもらいたい。
妊娠・育児・病気による失業保険(Maternity・Parental and/or
Sickness Benefits)とは
これは妊娠したり、子供が生まれたりして仕事を一時休まなければならなくなったりした場合や、怪我や病気などで仕事を離れなければならなくなった場合に申請できる失業保険である。妊娠(Maternity
Benegits)、育児(Parental Benefits)、病気(Sickness Benefits)の3種類がある。
受給申請資格者
★妊娠・出産のための失業保険(Maternity Benefits):母親、代理母
★育児のための失業保険(Parental Benefits):子供(養子を含む)を持つ親
★病気のための失業保険(Sickness Benefits):病気、怪我、伝染病からの隔離のため仕事ができな い状態にある人
これらに該当し、さらに下記の2つの条件を満たすものが受給資格を要する。
◎妊娠・育児・病気のため就業できず、1週間あたりの給与が40%以上減少された場合
◎申請する前の日からさかのぼった52週間に600時間以上働いていること(ただし雇用保険に入っていること)
申請方法・申請先・申請時期 申請方法と申請先については一般の失業保険と同じである。ウェブサイトから申請するか近くのヒューマン・リソース・ディべロップメント・カナダ(HRDC)オフィスに申請する。
申請オンラインウェブサイト
http://www.hrdc-drhc.gc.ca/ae-ei/dem-app/english/home2.html
申請は仕事を休業してすぐに申請するのが最も望ましい。これらの理由で従業員が仕事を離れた場合、雇用主は休業前の最後の給与を支払ってから5日以内にRecord
of Enployment(ROM)を送る義務がある。申請希望者はそれを受け取ったらすぐに申請する。
もしROMを受け取っていなくても雇用を証明できる書類(給料明細書など)と共に申請できる。会社側がROMを出してくれないなどのトラブルが生じた場合は、HRDCに相談すること。また、給与が40%以上カットされた時から4週間以上経って申請した場合は、保険金受給に影響する場合がある。
重複申請:妊娠のための失業保険を申請している時に、母親本人もしくはその配偶者・パートナーが育児用の保険を申請できる。また、育児のための保険を受給しながら病気のための保険を受け取ることもできるなどこれら3種類を組み合わせて申請することができる。
申請に必要な書類 これらの3つの失業保険に申請するために必要な書類は以下の通
りである。
Social Insurance Number(SIN) Record of Enployment(ROM)−もし就労最終日から14日以内にROMを受け取らなかった場合は雇用を証明する書類と共に申請できる。
身分証明書−運転免許書やパスポートなどの身分証明書が必要となる場合がある。 銀行口座インフォ−銀行振り込みの手続きのために必要な銀行口座番号などのインフォメーション。
医師の診断書(Medical Certificate)−病気・怪我のための失業保険を申請する場合に必要。
状況を説明する陳述書 −過去52週間に退社もしくは解雇された場合必要。 最終雇用先での詳細情報−これまでに受け取った給与の総計(税引き前)、就労した最後の週(日曜から就労最終日まで)の給与(税引き前)、その他の収入など
失業保険の最初の支払い日と待機期間
全ての書類がパスすれば申請した日から28日以内に最初の保険金が支払われる。ただその間の最初の2週間は通
常待機期間とされるので保険が支払われることはない。ただし例外的にこの待機期間が免除されたり、違う時期になったりする場合がある。
受給される期間
保険の種類
最長期間
妊娠(Maternity Benefits) 15週間
育児(Parental Benefits) 35週間
病気(Sickness Benefits) 15週間
3種類の保険のどれかを同時に受ける場合(例えば妊娠と育児など)、最長受給期間は50週間である。
2002年3月3日よりこの同時受給にはさらに受給期間延長制度ができ、3つの保険を同時に受給する場合最高で65週間保険を受け取ることができるとされている。
保険金の受け取り方法
保険金の受け取り方法は基本的に一般の失業保険受け取りと同じである。最初に “Benefit
Statement” が送られてきてから、それに記載されている “A Telephone Access Code(TAC)”
を使って、電話で「請求者レポート(Claimant's Report)」を行なわなければならない。
“Benefit Statement”の見本ウェブサイト http://www.hrdc-drhc.gc.ca/ae-ei/dem-app/benefit_statement.shtml
“TELEDEC-Direct Deposit”に関するウェブサイト http://www.hrdc-drhc.gc.ca/ae-ei/pubs/teledec_e.shtml
請求者レポートの免除 妊娠もしくは育児で保険を受給する場合、失業保険を受給するために行なわなければならない請求者レポート(Claimant's
Report)が免除される。その場合申請時に免除の申請もしなくてはならない。
失業保険受給中の就業
妊娠もしくは病気・怪我のための失業保険を受給中に働いて収入が生じた場合、失業保険の金額が定額から差し引かれることがある。
育児のための保険を受給している場合、50ドルもしくは1週間分の失業保険金の25%のいづれか高い方の枠内での収入であれば働くことができる。それ以上の収入があった場合は、保険料が差し引かれることがある。
受給できる保険金
基本レートは自分の平均給与(失業保険を掛けていた期間の給与)の55%で、最高額は1週間に413ドルである。受け取った失業保険には税金が掛かる。つまり受け取った時には州税もしくは国税(あるいは両方)がすでに差し引かれている。
子供を抱えた低所得者(年収25,921ドル以下)で、自身もしくは配偶者がカナダ・チャイルド・タックス・ベネフィット(CCTB)を受けている場合、これよりも高い保険金が受給できる。
保険金の計算方法は、一般の失業保険と同様である。詳しくは前回の特集(2003年2月27日発効第25巻第9号のローカル20ページ)を参照のこと。
妊娠による失業保険(Maternity Benegits)
これは出産を控えた母親もしくは代理母が申請できる保険で、最高で15週間保険料が受け取れる。そのための条件はすでに記載したとおりで、その他に出産予定日を記載した妊娠を証明する書類もしくは出産日を記載した書類が必要となる。
母親はこの保険を出産予定日から最長で8週間前からか、もしくは出産日の週から受け取ることができる。保険の受給期間は出産日もしくは出産予定日のどちらか遅い方から17週間以内とされている。
もし新生児が入院しなければならない場合は、出産日から17週間以内という受給期間制限は延長することができる。その場合、新生児が家に帰るまで保険金の受給は遅れることになる。
また、出産前から保険金を受け取り、その後子供が退院したあと保険金を受給したい場合はHRDCへ連絡、相談すること。
育児のための失業保険(Parental Benefits)
これは新生児もしくは養子を受け入れた親が申請できる失業保険で、最高35週間受給できる。書類は前述の他に新生児の出生証明書もしくは養子縁組を証明する書類が必要となる。
この育児のための失業保険は片親(例えば母親のみ)でも、両親で共有してもそれは自由である。しかし2人で共有した場合でも35週間という受給期間の枠は越えない。
受給開始可能日は、新生児の場合出生日より、養子の場合は子供が一緒に暮らし始めた日からとなる。保険受給が可能なのはこれらの日から52週間以内である。ただし、子供が入院している場合を除く。
子供が(新生児でも養子でも)入院している場合は、その親は育児失業保険を受給開始可能日に申請しても、子供が退院してから申請してもどちらでもかまわない。どちらにしても35週間の受給期間は変わらない。子供の入院中は52週間以内の受給可能期間を最大104週間まで延長できる。その場合は病院の証明書が必要となる。
病気・怪我による失業保険 (Sickness Benefits)
これは15週間を最大として、病気、怪我、伝染病のための隔離で働くことができなくなった人が対象となっている。
この保険を受け取るには前述した条件を満たすことが必要となる。医師の診断書には現在の病状がどのくらい続くのかが記載されていなければならない。
以上が妊娠・育児・病気による失業保険の概要である。わからないこと、詳しいことは直接HRCDオフィスに問い合わせてほしい。バンクーバーの主なHRCEオフィスの住所と連絡先は前回の「バンクーバー暮らしインフォメーション:カナダの失業保険制度」(2003年2月27日発効第25巻第9号のローカル20ページ)を参照のこと。 (取材 三島直美)