SPECIAL 2003
2003年11月 第44号 掲載
カウントダウンが行われるバッキンガム噴水 |
シカゴは風の都市だ。冬になればミシガン湖から吹き付ける風がひときわ寒い。木枯らしビュービューの時にシカゴに行くなんて!?と思うのはもっともだが、実はシカゴっ子は長い冬を楽しく過ごす工夫が大好き。クリスマス前後ならなお楽しい。
★世界初の高層建築都市
高層ビルを表現するのに「摩天楼」という言葉がある。これは「スカイスクレーパー」(空を削るがごとくそびえるもの)の直訳だ。この「摩天楼」が最初に建てられてのはニューヨークではなく、シカゴだ。19世紀の半ばから大工業地帯として発展中だったこの町は、1870年の大火災で市の中心のほとんどが燃え尽きてしまった。しかし、これをきっかけに米国全土から最新技術を持った若手建築家が集まり、高層ビルの建築が始まったのだ。1882年に建てられた10階建てのモントーク・ビルが、世界ではじめての「摩天楼」だ。
それ以来、シカゴは1970年代まで「より高く、より巨大な」ビルを目指して、次々と意欲的なデザインの摩天楼が築かれてきた。今でもシカゴ観光の一番のポイントは建築ツアー。運河を船で巡りながら周辺の建築を観察するツアーはいつも長蛇の列になるほどだ。
★北米一のショッピング・エリアは ここだ
シカゴはアメリカの工業の中心地。また、西部と東部を結ぶ流通の要であり、北米の中央部に広がる大穀倉地帯に関連したビジネスの中心地でもある。19世紀から続く豊かな町なのだ。そうなると、ショッピングも当然リッチ。特にダウンタウンの北側、ノース・ミシガン通りは、「マグニフィセント・マイル」と呼ばれ、およそ2キロにわたって華やかなショッピング・エリアが続いている。
店の種類の多様さ、高級ブランド店の多さなど、ニューヨークと比較してもけして見劣りがしないほど。特にクリスマスが近づく11月中旬以降は、ここは北米で最も活気のあるショッピング・エリアになる。各店で工夫をこらしたウィンドー・ディスプレイはもちろん、夜のライトアップがすばらしい。
11月22日、23日には、ミッキーマウスがリーダーになってお祭りを盛り上げてくれる「マグニフィセント・マイル・ライト・フェスティバル」が行われる。100万個以上のライトが街路樹に灯され、街中がゴージャスな夢のエリアに変身する。風は冷たいが、しっかり防寒対策をして歩けば、ウィンドーショッピングだけでも夢心地になれるはずだ。
また、北米のクリスマス商戦が本格的に始まるサンクスギビングの祝日(今年は11月27日)には恒例のパレードが行われる。サンクスギビングのパレードはニューヨークのメーシーズ・デパートのパレードが有名だが、シカゴッ子はこれに対抗する意欲満点。毎年30万人以上の人々が集まる大イベントになる。この日から市役所周辺では巨大なクリスマス・ツリーがライトアップされ、これもニューヨークと比較されるほど豪華。
★寒い日は美術館で癒しの時を
シカゴの豊かさは、街のあちこちに点在する博物館や美術館の内容の素晴らしさにも反映されている。もちろん一番有名なのはシカゴ美術館。1892年にオープンして以来、米国を代表する美術館の1つとして世界的に高く評価されている。夏の観光シーズンにはかなり混雑するので、冬のオフシーズンは作品をゆっくり鑑賞したい人にぴったり。
エル・グレコの最高傑作の1つと言われる『聖母昇天』をはじめ、膨大な数の作品が展示されているので、1日では全部を回るのはまず不可能。歩きやすい靴をはいていかないと辛いほどだ。時間が限られているなら、モネの代表作をたっぷり味わえる印象派の展示室に絞るのがおすすめ。また、グラント・ウッドの『アメリカン・ゴシック』など、20世紀の作品を中心に鑑賞するのも良いだろう。
自然科学関係の博物館として有名なのはフィールド博物館。入り口には「スー」という愛称で知られるティラノザウルスの巨大な化石が展示されている。この種の恐竜の化石としては最も完璧で大きさも最大規模。その迫力には大人でも圧倒されるほど。
さらにシカゴらしい博物館といえば、科学産業博物館。鉄道や航空機、自動車などに興味がある人なら見落とせない。1934年にデンバー〜シカゴ間を当時としては驚異的な13時間というスピードで走った、世界初の流線型列車「超特急ゼファー」など、米国の産業史を象徴する様々な機械が集められている。
★カウントダウンを 雲の上から眺めよう
『シカゴ』や『アンタッチャブル』の映画でも知られているように、シカゴといえばアル・カポネに代表されるギャングの街というイメージが強かった。しかし、今のダウンタウンは治安も比較的良く、バスや電車などの公共交通も安心して利用できる。
観光には市全体が熱心で、特に冬の間にできるだけ旅行者を呼ぼうという努力は涙ぐましいほど。1月から2月にかけては「ウィンターデライト」と呼ばれる連続イベントがあり、毎週の週末ごとにジャズ、ブルース、オペラなどのフェスティバルを始めとして、フードショーやフラワー・ショーなどが催される。
また、最近人気があるのは大晦日のイベント。グラント公園のバッキンガム噴水の周辺では花火で新年を祝う大規模なカウントダウンが行われる。この花火を高層ビルの展望台から眺めるというのもシカゴならでは。100階建てのジョン・ハンコック・センター・ビルの90階にある展望エリアは大晦日から新年にかけて夜中もオープン。多くの人が雲の上から街を眺めながらカウントダウンに参加する。
長い冬を楽しむ知恵がいっぱいのシカゴ。シカゴ観光局のサイトには、ホテルの割引パッケージなど、オフシーズンならではのお得な情報やイベント情報が満載されているので、旅行を計画するときはまずここをチェックしよう。
(取材・文 宮田麻未/写真 神尾明朗)
*シカゴ観光局
ウエブ:www.chicago.il.org
*シカゴ美術館
Art Institute of Chicago
住所:111 S. Michigan Ave.
電話:312-443-3600
*フィールド博物館
Field Museum
住所:1400 S. Lake Shore Dr.
電話:312- 922-9410
*科学産業博物館
Museum of Science and Industry
住所:57th St. & S. Lake Shore Dr.
電話:773- 684-1414
*ジョン・ハンコック・センター展望台
The Hancock Observatory
住所:875 N. Michigan Ave.
電話:312-751-3681