SPECIAL 2003
2003年8月 第35号 掲載
トロント・アイランドから眺めるダウンタウン |
新型肺炎から大停電まで、今年のトロントはさまざまな苦難に見舞われている。それでも市民は落ち着いたもので、大きなパニックはおこっていないし、ローリングストーンズのコンサートなど大型イベントも十分に楽しんでいる。 今、トロントの観光関係業者はこぞって巻き返しキャンペーン中。ホテルなどもお得なパッケージ料金を用意しているところが多い。トロントは劇場や美術館の充実している都市。夏から秋への旅にはぴったりだ。
★北米屈指のエンターテイメント・シティ
トロントはメープル街道の出発点として、またはナイアガラ観光の入り口として、ただ通
り過ぎるだけの場所と思われがちだ。しかし本当は、この街ほど奥が深く、様々な楽しみ方のできる都市は北米でも少ない。できれば1週間ぐらいの「プチ長期滞在」の計画を立ててでかけてみよう。
まず、この都市の良いところは公共交通が十分に発達していることだ。北米の大都市が市内に高速道路を導入するのに夢中になっていた時、トロントは地下鉄の建設に力を入れ、路面
電車を残し、バス路線を充実させてきた。地下鉄の駅などで公共交通網の一日乗車券を入手すれば、市内の観光は自由自在だ。
もう一つのトロントの良いところは、あらゆるカルチャー系のアクティビティが楽しめること。特に演劇やミュージカルの好きな人にはおたのしみがいっぱいだ。例えば、新しいミュージカルなどを上演する場合、ニューヨークでのオープニングの前にトロントで試験的に上演して客の反応を見る、といったようなことがしばしば行われる。
話題の新作を世界に先駆けて鑑賞するチャンスもあるというわけだ。トロントにはロイヤル・アレクサンドラ劇場などをはじめ、由緒のあるクラシカルな劇場がたくさんあり、毎晩数多くのプログラムが上演される。イートンセンターの中にあるT.O.TIXの窓口へ行けば、当日券を半額で入手できる可能性もある。
★グループ・オブ・セブンの傑作に出会える幸せ
美術館や博物館が充実していることでも、トロントは北米屈指のカルチャー・シティだ。
カナダを代表する画家集団、グループ・オブ・セブンの作品のコレクションで有名なマクマイケル美術館、ヘンリー・ムーアの彫刻のコレクションでは世界一のオンタリオ美術館、文化史と自然科学史を融合させたユニークな展示で知られるロイヤル・オンタリオ博物館などは必見。陶器や磁器に興味があるなら、ジョージ・ガーデナー陶磁器美術館もぜひ訪れたい。
少々マニアックだが、人間の歴史を「靴」で語るバータ靴博物館や、アイスホッケーのスーパーヒーローの物語に触れることができるホッケー博物館などもおもしろいだろう。
★ショッピング、ショッピング、 ショッピング! 旅に出たらショッピングが楽しみ、という人にもトロントはおすすめだ。トロントの市内には、いくつものユニークなショッピング・エリアがあるので、自分のテイストに合せて「街」を選べるのがおもしろい。
ブランド・ショップをチェックしたいなら地下鉄のBay駅で下車してヨークビル周辺へ。ルイ・ヴィトンやカルティエなどの超高級店から、ギャップやクラブ・モナコなどのカジュアル・ブランドの大型店まで、最新のラインをまとめてチェックできる。
個性的な一点もののアクセサリーなどを探すなら地下鉄のOsgoode駅から西に歩いて、クイーン・ストリート周辺のお店に行くのがおすすめ。ビンテージ物のウェアなら、市電をスパダイナとダンダス通
りの角辺りで降りて、ケンジントン・マーケットの周辺に並ぶ古着屋さんをのぞいてみよう。
この他にも、キャベッジ・タウンやアネックス、ザ・ビーチなどと呼ばれるエリアには、新進デザイナーのブティックやインテリア小物のお店などが集まっている。これらの商店街の周辺はレンガ造りのクラシカルな家が並ぶ静かな住宅街が広がっているので、地元の人になった気分で散歩してみるのも楽しいだろう。
★イタリア料理がおいしい!
外食をする率はトロント市民がカナダ一、という統計もあるほど、トロントはレストランが多いことで知られている。中でも、イタリア料理のお店が目立つ。これは、第二次大戦後、トロントがイタリアからの移民をたくさん受け入れた時期があり、今でも市内でイタリア系の人口の占める割合がかなり高いからだ。イタリア料理のおいしいお店が多いのも自然のことと言えるだろう。
また、中国系の住民も多いので、ダンダス通りなどチャイニーズ・レストランが集まっているエリアもある。しかし、中華料理に関してはおそらくバンクーバーの方がレベルが上と言って良いだろう。シーフードはあまり期待しない方が良いかもしれない。
その代わり、絶対ためしてみたいのはホットドッグだ。ダウンタウンなどは、一つのブロックに5台ぐらい屋台が出ているほど。市民も味にうるさいので競争も厳しい。地元の人が列を作っているような屋台で買うのがコツだ。
★湖からダウンタウンを見渡す ミニ・クルーズ
最後にもう1つトロントの魅力を加えるなら、トロント・アイランドだろう。ダウンタウンのすぐ南に浮かぶ小さな島々。ウェスティン・ホテルの裏手から出航するフェリーにのれば10分ほどで渡ることができる。島へ一歩入れば、自動車もなく、全体が小さな田舎の村のような雰囲気。自転車をレンタルしてサイクリングをしたり、湖畔を散策したりしてのんびり1日を過ごしてみるのもいいだろう。
フェリーから眺めるダウンタウンの高層ビル街の美しさは特に印象的。ロマンチックなクルーズの気分も味わえる。 (取材 宮田麻未/写
真 神尾明朗)
トロントの観光に関する情報はwww.torontotourism.comや 無料電話1-800-363-1990でも入手できる。
以下に挙げる美術館や博物館の開館時間は季節によって変わることもある。
*オンタリオ美術館 Art Gallery of Ontario 地下鉄 St. Patrick駅下車、徒歩2分
11:00-17:30 月曜休(夏期無休)有料 電話 416-979-6648
*ロイヤル・オンタリオ博物館 Royal Ontario Museum 地下鉄Museum駅下車すぐ 10:00-18:00(日曜11:00から)
無休 有料 電話 416-586-8000
*ジョージ・ガードナー陶磁器美術館 The George R. Gardiner Museum of Ceramic
Art 地下鉄Museum駅下車すぐ 10:00-17:00 月曜休 有料 電話 416-586-8080
*バータ靴博物館 Bata Shoe Museum 地下鉄Spadina駅下車すぐ 10:00-17:00(日曜12:00から)
月曜休 有料 電話 416-979-7799
*マクマイケル美術館 McMichael Canadian Art Collection Islington Ave., Kleinburg
(トロントのダウンタウンから車で約45分) 10:00-17:00 月曜休(夏期無休) 有料
電話905-893-1121 *ホッケー博物館 Hockey Hall of Fame 地下鉄Union/King駅下車徒歩3分
10:00-17:00 無休 有料 電話 416-360-7765