SPECIAL 2003
2003年8月 第33号 掲載
コロンビア大氷原(アサバスカ氷河)を歩くのは感動の体験 |
世界で最も美しいドライブルートの1つに数えられているのが、レイク・ルイーズとジャスパーを結ぶ93号線。アイスフィールド・パークウェイという愛称通
り、沿道には次々と美しい氷河や湖が姿を現す。 エルクやマウンテンゴート、時には熊やムースなどの野生動物に出会えるチャンスも、このハイウェイならかなり期待できる。カナディアン・ロッキーの最も定番の観光コースだが、まだまだあまり知られていないポイントも多い。
★コロンビア大氷原から 先こそがおもしろい
アイスフィールド・パークウェイは全長230キロ。団体旅行の多くは、途中のコロンビア大氷原まで行き、そこから折り返す日帰りの日程を組む。もちろん、それだけでも十分に雄大な大自然を満喫することができるが、レンタカーで旅するならジャスパーまで全行程を走ってみよう。さらに、途中のキャンプ場などで一泊し、氷河に囲まれて朝を迎える、素晴らしい体験もしてみたい。
ゆっくりこのルートをドライブするなら、バンフの本屋などで沿道の詳しい解説本を入手するのがおすすめだ。例えば、Brian
Pattonの『Parkways of the Canadian Rockies』という本は、ロッキー内の主要ハイウェイの最も詳しい解説書として有名。
アイスフィールド・パークウェイについても、レイク・ルイーズとジャスパーの両方を基点にしたキロ数が細かく示されているので、走行距離に注意していればポイントを見落とさずにすむ。もちろん、ガイド本にしばられずに、自分の気に入ったところで十分に時間を取るというのも車での旅ならではの楽しみだが…。
あえて挙げるなら、レイク・ルイーズ側の入り口から17キロ地点のヘクター湖、カラスの足のように見えるクロウフット氷河(33.1キロ地点)、神秘的な星型の湖ペイトウ湖(44.3キロ地点)、大きな鳥が急降下しているようなスノーバード氷河(47.9キロ地点)、巨大な岩壁が泣いているように見えるウィーピング・ウォール(105.6キロ地点)、氷河が膨大な力で創り上げた深い谷を見渡すノース・サスカチュワン・バレー展望エリア(109.8キロ地点)などが、コロンビア大氷原にたどり着くまでのおすすめポイントだ。
★エッ?!見えているのは コロンビア大氷原じゃない?
「大氷原に自分の足で立った感激は忘れられません!」と、コロンビア大氷原雪上車ツアーの思い出を語る人は多い。アイスフィールド・パークウェイのハイライトだ。夏のピーク時には、予約をしておかないと、乗車できるまで何時間も待たされることがあるほど(今年は飛び込みでも比較的待ち時間は少ないそうだが…)。
ところが、正確に言うと雪上車ではコロンビア大氷原にたどり着くことはできない。観光客が立っているのは大氷原から流れ出ている氷河のひとつ、アサバスカ氷河だ。本当の大氷原は目の前にそびえているアサバスカ山の彼方に325平方キロにわたって広がっているのだ。
もちろん、それでも永遠の時間が凍りついているような氷河の上を自分の足で歩ける感動は深い。氷の不思議な蒼さは忘れることができないだろう。ハイキングや山登りの経験者なら、氷河の先端から歩いていく「アイス・ウォーク・ツアー」もある。
★93A線に入って 「天使」に会いにいこう!
コロンビア大氷原から、さらに北へ向かおう。車の交通量はぐっと減るのに気がつくはずだ。最初のポイントは134.2キロ地点にあるタングル・フォール。目立つサインもないので通
り過ぎてしまう人が多いが、5億年前の岩盤が露出し、何段にも分かれながらそこを落ちて来る滝の姿はなかなか味わいがある。
滝のすぐ北に見えてくるサンフィールド氷河もコロンビア大氷原から流れでる氷河の一つ。この氷河はまるで巨大な滝のように崖に張り出しているので、運が良ければ氷塊が落ちる音が谷間に雷のようにこだまするのを聞くことができるかもしれない。
175.7キロ地点から横道に入ると、サンワプタ・フォールへの駐車場。サンワプタ川がここで急に方向を変えるので、まるで巨人が無理やり水の流れを捻じ曲げたように見える。
カナディアン・ロッキーで最も美しい滝の一つ、アサバスカ・フォール(199.2キロ地点)を過ぎたら、93A号線の標識に注意。この道は夏の間しか通
行することができないし、大型のバスも入って来にくいので、特にリピーターにおすすめのエリアだ。
このルートのハイライトはエンゼル氷河。その名前のとおり、片方の翼を失った天使が空から舞い降りて来た姿のように見える。その天使を抱きかかえるようにそびえるエディス・カベル山の荘厳さも息をのむようだ。天使の足元に広がる湿地帯に咲く亜高山植物の美しさも天国を思わせる。ここまで来れば、ジャスパーももうすぐだ。
★ジャスパー国立公園で キャンピングをしてみよう
ジャスパーは、カナディアン・ロッキー観光の基点の一つだが、飛行場が近くにないためか、バンフ周辺よりずっと静か。古き良き時代の山岳リゾートの雰囲気が残っている。3,000メートル級の雄大な山々に囲まれた町の周辺には、ロッキーで一番美しいといわれるマリーン湖をはじめ、氷河の水をたたえたいくつもの湖がある。乗馬やゴルフ、ハイキングなどのアウトドア・アクティビティも豊富。
ジャスパーには、有名なフェアモント・ジャスパー・パークロッジをはじめ、設備の整ったホテルがたくさんあるが、キャンピングを体験してみるのもおすすめだ。ジャスパー国立公園をはじめ、ロッキー周辺の国立公園の中にはたくさんの公営キャンプ場がある。基本的には先着順の受け付けなので、その日に希望の場所に泊まれるかどうかは、何時に到着できるか次第だ。
キャンプ場の施設はシャワーから水洗トイレ、電気などが完備したものから、簡易トイレのみという「本格派」までいろいろ。水洗トイレがなければだめ!という人はジャスパーの町のすぐ南にあるWhistlersのキャンプ場がベスト。キャンプの経験豊富な人なら、コロンビア大氷原のキャンプ場へ。ただし、ここはテントのみでRVは停まれない。
8月も中旬を過ぎれば、ロッキーは雪がぱらつくこともある。夜になるとかなり気温が下がるので、旅に出るときは服装に注意。キャンプを計画しているなら寝袋などもきちんと用意したい。
(取材 宮田麻未/写真 神尾明朗)