SPECIAL 2003
2003年7月 第30号 掲載
バンクーバーの南に位置する町、リッチモンド。その中心部から更に南西の地域にある港町、スティーブストン。
今回は、日本人にも関連深い港町スティーブストンのマーケットを中心に紹介してみたいと思う。
★アクセス★ ダウンタウンからBライン98番のバスに乗り、終点のリッチモンド.センターまで約45分。下車後、同じ停留所から402番もしくは410番のバスに乗り換えて、走ること約16分。
どちらのバスも終点がスティーブストン.ビレッジになっているので、迷うことは無いだろう。バスを降りると、そこはダウンタウンの喧騒を離れた、閑静な港町。潮の香りとカモメの鳴き声が、街の静かさをより印象付けていた。
日系コミュニティ発祥の町
19世紀末から20世紀初頭にかけて、ここには漁業に携わる日系人が数多く住み、日系人のみならず、白人や中国系の人々が渾然一体となって町を形成していた。
現在は、海岸沿いにはレストランやギフトショップが建ち並び、当時の面影は薄くなっているものの、日系人が最初に移住したという名残が、この町の旗に残っている。その旗は、日本国旗をモチーフにしたデザインとなっており、今も港で、風にはためいている。
おいしい週末・船上マーケット
そんな静かな港町も、週末ともなると、多くの人で賑わう。ここでは、毎週末ごとに船上マーケットが開かれ、多くの魚介類が売られているが、その鮮度と価格の安さは、ダウンタウンの小売店のそれとは比較にならない。バス代やガソリン代を計算に入れても、十分安上がりである。その値段に触発されてか、通
常では考えられない量の魚介類を買っていく人も多く見受けられるが、それも納得できる。
ここに毎週仕入れに来るレストランの経営者もいるそうだ。
船上で売られている魚介類は、毎週月曜日から木曜日にかけて、地元の漁師たちが近郊の海で捕ってきた新鮮なものばかり。籠に入れて海水の中で保存しているので、並べた後もピチピチとはねる活きの良さ。
しかし、今の時期、一番取引の量が多いのは甘えび。その価格の安さは、日本とは到底比べ物にならない。大きさによって値段が変わってくるが、大きいもので4ドル/1LB(約450グラム)前後、日本のスーパーなどで売られている、手頃なサイズで3ドル/1LB。
購入前に、1匹試食したが、日本で食べるそれと全く変わらない美味しさ。醤油なしでも、ぷりぷりとした甘えび独特の食感と甘味が、充分に味わえた。試食している時に、隣で見ていたインド系カナディアンが、「Are
you sure?」とひと言。聞くと、東南アジア周辺の人たちは、料理にえびを使うことはあっても、生では決して食べないとのこと。私が「日本人は、えびの頭を油でカリカリに揚げたものも喜んで食べるよ」と教えると、信じられない顔つきをして見せたのが、とても印象的だった。結局、衝動的に4パウンド購入。
買った後で、どうやって食べようか悩んだが、結局、半分を刺身で(それでも約1キロ分!!)、残り半分を後日、素揚げにしてビールのつまみに。
ここでは、他にもサーモンや鱈は勿論、ヒラメやカレイ、蛸の足など、日本人にもなじみ深い魚が並んでいる。
この時期、生のスプリングサーモンが旬なので、サーモンの販売専門の船も幾つか見受けられる。また、船によっては冷凍の筋子を売っているので、聞いてみると良いだろう。ヒラメやカレイは、刺身には勿論、煮付けやムニエルにしても美味。蛸の足は、売られているものはどれも50センチ近くあり、食べ甲斐がありそう。
それらの魚に混じって、エイやサメなども売られている。「どうやって食べるの!?」と漁師に尋ねると、「Deep
fry(油で揚げるんだよ)」という答えが。「中国系のお客さんが買っていく」のだそうで、食文化の多彩
さを実感した。来客者に目を向けてみると、約半分が中国系で、残り半分の中に、白人やインド系カナダ人が2割ずつ、といった様子。
魚を売っている漁師も、大多数が中国系で、英語に混じって中国語が飛び交う人だかりの中に身を置いていると、自分がカナダにいる、ということを一瞬忘れてしまう。日系人は少なく、私が訪れた時には、2〜3人いるかどうか、という程度。多人種国家、カナダの縮図を垣間見たような気がした。
自然と触れあう! ホエールウォッチング
ここスティーブストンでの、もう一つの楽しみが、ホエールウォッチング。通常「ホエールウォッチング」というと、ビクトリアの方が一般
的という
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イメージが強いが、実はここでも体験できる。
Vancouver Whale Watchという会社がツアーを行っており、ガイドが船に同乗し、Gulf
Islandや、そこから更に南の方まで、回っていく。
この付近には、多くの野生のシャチが年間を通して生息しており、極めて高い確率で、シャチを見ることができるという。
通常3〜5時間の予定で行われるツアーだが、シャチに会えるまで船を出すこともあるため、ときには6時間以上海上を動き回ることもあるという。
シャチの他にも、アザラシやトド、アシカなども見られ、運がよければ、ラッコにも会えるというこのツアー、今年は10月12日までの予定。料金は、以下の通
り。ツアーの出発時間は時期によって異なるので、電話もしくはウェブサイトで確認した方が良いだろう。ダウンタウンから、シャトルバスによるピックアップサービスも行っているので、とても便利。
毎日良い天気が続くこの時期、最高の体験になることは間違いない。
かつて多くの日本人が移住し、数々の苦労を乗り越えて作り上げた町、スティーブストン。ここを訪れる人達は皆おおらかで、とても気さくに話してくれる。買い物に来る人々、散歩する人々、それぞれが和やかな顔で、この町の静けさと週末だけの喧騒を楽しんでいる。
観光客向だけではない、地元の人々の暮らしを垣間見た、そんな気がするひとときだった。
(文:加藤文健)
★料 金★ ◆35人乗りの大型船の場合◆ 子供(12歳以下):59ドル
シニア/生徒:85ドル 大人:95ドル
◆12人乗りの小型船の場合◆ 一律95ドル(8歳以下の子供は同乗不可) Vancouver
Whale Watch Tour社
電話:604-274-9565 ウェブサイト:www.vancouverwhalewatch.com