メープルロード2003
2003年1月 第3号 掲載

カナディアン・ロッキーでアイスウォーク
氷の宮殿への不思議な夢の旅

   

マリーン・キャニオンの氷の宮殿

両側から岩壁が迫り、渓谷が徐々に狭まってきます。崖のあちこちから流れ落ちる水は冬の訪れと共に薄水色のクリスタルのような氷に変わり、やがて谷底の流れも滝も凍りついて、渓谷全体が氷の宮殿に変わります。
 氷の上をゆっくり、ゆっくり歩いて、この魔法の世界を訪ねるアイス・ウォークは、カナディアン・ロッキーの新しいアクティビティとして、ここ数年人気が高まってきました。バンフやジャスパー周辺にはこのアイス・ウォークの名所がたくさんあり、ツアーを催行する会社も増えています。
リピーターがすすめる冬のロッキー
 夏にカナディアン・ロッキーを訪れたことのある人は多いでしょうが、冬の素晴らしさを体験した人があまりいないようです。もちろん、スキーやスノーボードを楽しみにロッキーへ出掛けたことがある人はたくさんいるでしょうが・・・冬のロッキーでは、バンフやジャスパーが、まだほんの一握りのぜいたくな旅行客にしか知られていなかった頃の雰囲気を体験することができます。
 スキーのワールドカップの開催日(通常は12月初旬)を避ければ、ホテルも十分余裕がありますし、よりきめの細かいサービスが期待できます。宿泊料金も夏に比べてかな割安。ワンランク上のホテルで優雅な休暇を過ごすことができるでしょう。
 もちろん、寒さは厳しいですが、日本よりずっと乾燥しているので、暖かな服装を整えれば「骨身にしみる」ような寒さは感じません。ただし、靴だけはしっかりした防寒靴を用意しましょう。     
  のんびり旅には温泉がおすすめ
 バンフで滞在するなら、温泉とエステを中心にした日程がおすすめです。お城のような外観で有名なフェアモント・バンフ・スプリングスには、ホテル内に温泉を利用した本格的スパがあります。マッサージやエステのメニューも充実していて、エステのパッケージを利用すれば、日本に比べてかなり割安な値段でゴージャスなスパ体験ができます。このスパは宿泊客でなくても利用可能です。
 また、もう少し、気楽に温泉を楽しみたいならアッパー・ホット・スプリングスへ。たった5ドル50セントで一日たっぷり温泉気分にひたれます。ここにもスパの施設があって、ロッキーの素晴らしい山並を眺めながらトリートメントが受けられます。アロマセラピーやフェイシャルなど、トリートメントのメニューも本格的です。
 ジャスパーの近くにあるミエッティ温泉は残念ながら冬の間はお休みです。しかし、ソウリッジ・ホテル( 電話780-852-5111) のように「癒し」に力を入れているホテルも増えています。このソウリッジ・ホテルは、ファースト・ネーション(先住民) の人々の運営するホテルで、設備は近代的ですが、サービスやインテリアなどに、伝統的なもてなしの心がいかされています。ここの「ウェルネス・センター」にも、大自然と調和して暮らしてきた、ファースト・ネーションの人々ならではの心配りが感じられます。 アウトドア・アクティビティーも多彩 スキーやスノーボード以外にも、冬のロッキーにはアウトドア・アクティビティがたくさんあります。今シーズン、一番のおすすめはアイス・ウォーキングです。
 特別な用意は必要ありませんが、もちろん十分に暖かい服装、歩きやすい防寒ブーツかハイキング・シューズは欠かせません。アイスウォークのツアーに入れば、アイスウォーク用の滑り止めギアを貸てくれます。靴の上からこのギアを装着すれば、氷の上も安心して歩けます。
 アイス・ウォークで最も有名なのは、ジャスパーの近くにあるマリーン・キャニオン。一番深い所では約50メートルもの谷底へ降りていきます。冬のかすかな光が差し込む谷底は、真っ青な氷の宮殿です。特に、滝が水の流れ落ちる形のままに凍りついている様子は、まるでおとぎ話の世界へ迷いこんでしまったようなきがしてきます。
 バンフの周辺では、ジョンストン・キャニオンが人気があります。川を見下ろす崖に沿って遊歩道が作られており、氷と雪が作り出す不思議な彫刻を眺めながら歩くのは、寒さを忘れてしまうほどの楽しさです。ここには落差の大きな滝が二つありますから、凍結した滝の神秘を眺めるには一番の場所です。  歴史に興味がある人なら、ケンモアにあるグロット・キャニオンがおすすめです。ここは谷の幅が比較的広いので、「氷の宮殿」という面 では、ジョンストン・キャニオンやマリーン・キャニオンほどの美しさはありません。その変わり、素晴らしい岩絵( ピクトグラフ)を見ることができるのです。
 この絵は、およそ3000年前(他にも推定年代には説があって、まだ確定的な証拠は出ていないようです。)に、ファースト・ネーションの人々によって描

グロット・キャニオンの謎の岩絵

かれたもの。赤い染料を使って、バッファローやカヌー、人物像などが素朴な力強い線で描かれています。
 それらの絵の中に一つだけ、不思議なデザインのものがあります。それは、背中を少し丸めてダンスをしているような笛吹き男の姿です。これは、アメリカの南西部、アリゾナやニューメキシコでしばしば見かける、ココペリと呼ばれる人物像にそっくりです。いったいどうして、そんな絵が遠く離れた北国の岩に描かれているのでしょうか?3000 年以上も昔に、長い長い旅をした人がココペリの物語を伝えたのでしょうか?想像力を刺激されて、心が暖かくなってくるような気がします。
 ケンモアには、この他にも鍾乳洞もあります。こちらは年間を通じて摂氏5度。ヘルメットとヘッドライトをつけて、本格的な冒険気分を味わえます。
 いづれのアクティビティもツアーに入ってガイドと一緒に行動した方が安全。歴史や地理、野性動物などの知識が豊富なガイドさんばかりなので、思い出がより豊かになることでしょう。
インフォメーション 
アイス・ウォーキングのツアーを催行している業者は何社もあるが、ジャスパーではJaspaer Adventure Center(tel 1-780-852-5595)、バンフではDiscover Banff Tours(tel 403-760-1299)などが大手。ツアーは3 時間半程度で、ハイキングの経験があまりなくても大丈夫。料金は45〜50ドル程度。ケンモアの洞窟ツアーはWild Cave Tours(tel 403-678-8819 ) へ。料金は79ドルと105 ドルの 2種類。   ( 文・写 真 宮田麻未)